主な疾患の治療方針
頚椎後縦靭帯骨化症(けいついこうじゅうじんたいこつかしょう)
頸椎(背骨の首の部分)を背部から支えている柔らかい後縦靭帯が骨化する病気で、骨のように硬くなった靭帯が脊髄(せきずい)を圧迫することで、首や手足に痛みやしびれなどの神経症状が出ます。治療は、症状がない場合は生活指導を行い、しびれ等の症状が出ている場合は保存療法、すでに運動障害・歩行障害等の脊髄の高度な圧迫症状が出ている場合は手術療法の適応を積極的に考えます。脊髄症状のない場合は、保存療法で十分なことが多く、長期的にも悪化しない場合が多いようです。
保存療法
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日常生活指導
転倒や頭部の外傷を避けるために、泥酔時の階段昇降禁止や水泳の飛び込み禁止などの生活指導を行います。また、首を後ろに倒すとき(歯科治療時・美容院等)や、首の曲げ伸ばしなどを避けるように指導します。 -
理学療法
頚椎牽引(けいついけんいん)や温熱療法を行います。 -
薬物療法
痛みを抑えるために、鎮静消炎薬などの薬物治療を行います。
手術療法
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前方除圧固定術
骨化した後縦靭帯を徹底的に削り取るか、薄くして浮かせて脊髄への圧迫を解除し、空隙部には骨盤から採取して骨を移植します。 -
後方除圧術
骨化した後縦靭帯には、触らずに頚椎の後方の椎弓を広げて脊髄を後方へ移動させることで脊髄の圧迫解除を図ります。近年はこの方法が主流となりました。