主な疾患の治療方針
変形性股関節症(へんけいこかんせつしょう)
股関節(大腿骨と骨盤の間の関節)の軟骨が痛み、すり減って痛みや変形などを起こす病気です。原因がはっきりしない一次性関節症と、生まれつきの股関節の変形や病的状態に続いて発症する二次性関節症があります。わが国では従来、小児期の先天性股関節脱臼後に生じる二次性関節症がほとんどでしたが、最近の高齢化とともに原因がはっきりしない一次性関節症が増えてきています。 治療については、年齢、病期、関節の適合性、社会的背景などを総合的に判断し、方針を決定します。基本的には保存療法をまず行い、改善が見られない場合は手術療法の適応を積極的に考えます。
保存療法
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日常生活指導
杖を使って負荷を軽減したり、減量を行ったり、長時間長距離歩行を制限する指導を行い、痛みをコントロールします。 -
薬物療法
痛みが強い場合は、薬物治療を行うのが一般的ですが、痛みを感じにくくなることで病期を進行させてしまうこともあります。また、胃潰瘍などの副作用に注意する必要があります。
手術療法
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骨切り手術
大腿骨頭の下方を骨切りして大腿骨頭の向く角度を変えたり、骨盤の寛骨臼を骨切して移動させて股関節の適合性を改善することで疼痛を改善し、人工股関節置換術への移行を遅らせたりする目的で行ないます。 -
人工股関節置換術
荒廃した股関節を全て人工の関節で置き換えて股関節痛を大きく和らげる手術方法です。近年のテクノロジーの進歩で人工関節の耐久性・信頼性は飛躍的に改善し、長期的にみてもきわめて安定した良好な結果が得られています。 -
その他
関節鏡視下に関節内にある不要な物質を洗浄除去する手術や、股関節周囲筋を切り離して股関節の内圧を下げることにより効果を得る筋解離術などを行います。