主な疾患の治療方針

頸椎症(けいついしょう)

頚椎は、背骨の中で首の部分を構成する骨のことです。頚椎症は、椎間板の老化による変性によって生じる病気です。頸部神経根の通過する一部が狭くなるために上を向くと首や肩や腕、前腕からときには手指へ痛みが響きます。また、手指がしびれたり、動きがぎこちなくなったりします。保存療法で、ほとんどのケースが軽快します。それでも改善されない場合や痛みが耐えがたい場合は、手術療法の適応を積極的に考えます。

保存療法

  1. 日常生活指導
    頚椎を安静にすることが大切なので、上を向いたり、首を後ろに反らせたりする姿勢を極力とらないように指導します。
  2. 薬物療法
    痛みやこりに対しては、お薬を処方して和らげます。
  3. 温熱療法
    痛みやこりに対しては、患部を温熱・電気治療器で温め、症状の緩和を図ります。
  4. 運動療法
    重い頭部を支えるために首の筋力強化指導を行います。
  5. 装具療法
    首の安静を図るため、首の周りに装着して動きを制限する頚椎カラーを着けて、首の負担を減らします。
  6. ブロック療法
    痛みやこりが強く、日常生活に支障をきたす場合は、局所ブロック注射を行います。また2週間ほどの入院加療が可能ならば、頸部の後方からテフロンチューブを挿入して一日中局所麻酔を注入して疼痛を大きく和らげる頸部持続硬膜外ブロック療法を行ないます。

手術療法

  1. 頸椎前方徐圧固定術
    頸部の前方から神経根圧迫して痛みを引き起こしている椎間板や棘のような骨を切除して神経根の圧迫を解除することで痛みを軽快させます。骨切除や椎間板を摘出して生じた空隙部分には骨盤から取った骨を移植します。手術後は移植した骨の癒合が得られるまで3ヶ月間ほどの頸椎の装具装着を要します。
  2. 頸椎後方除圧術
    頸部の後方から神経根の通過する狭い部分(椎間孔部)の骨を切除して、神経根の圧迫を解除することで痛みを消退させます。骨盤から取った骨を移植する必要はなく、手術後は3週間ほどの頸椎の装具装着を要します。近年盛んに行なわれるようになりました。